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02 神宮 和晃

JKCトリミング競技会で3度の理事長賞(ミニチュア・シュナウザーで2回、トイ・プードルで1回)を獲得。
アメリカのGroom Expoでも2度の総合優勝(トイ・プードル1回、ミニチュア・シュナウザー1回)。
また、2018年にベルギーでおこなわれたヨーロッパ最大のグルーミング大会「GROOMANIA」のテリア部門でチャンピオンを獲得するなど、異なる犬種や技法で世界レベルの活躍をしている。

トリマーになったきっかけを教えてください。

元々は獣医師になりたかったのですが、通っていた高校でトリマーの資格を取ることができるというクラブ活動があり、その頃はいろいろな資格を取りたいと思っていたので、やってみたのがきっかけです。
そのクラブ活動には、専門学校の講師やサロンで働く現役のトリマーが教えに来てくれて、卒業する時にJKCのC級ライセンスを取得することができました。
当時はトリマーという職業があることを知らなかったのですが、やっているうちに、「これはおもしろい。奥が深い。」と思うようになり、生涯にわたって突き詰めてやれる仕事だと思い、トリマーを目指すようになりました。
両親や友人からは、獣医大学に進学した方がいいと言われましたが、自分の中では獣医大学に6年間行ったとしても、その後はトリマーになりたいという意志が既にあったので、トリミングの専門学校に行くことにしました。
シュナウザーをやるようになったのは、ある日、ひとりの先輩がショートリミングされたシュナウザーを高校に連れてきたことがきっかけです。
それまで雑種や柴犬、ビーグルくらいしか見たことがなかったので、とても衝撃を受けました。ふさふさの肢、短くて硬い体の毛、眉毛、髭など、それまでに見たことがない姿をした犬種で、とても魅力を感じて、自分はこの犬種を極めたいと思うようになりました。
専門学校在学には、JKCのトリミング競技会に出場し、シュナウザーで理事長賞をいただくことができました。

専門学校卒業後は、どのような経歴でしょうか?

専門学校卒業後は、プードルで有名なサロンに就職して、3年間住み込みで働きました。
そのサロンには、学生の時に1週間だけ働いたことがあり、その時に支店で働いてみないかと誘われたのがきっかけです。
私は、JKCの教士の資格を取りたかったのですが、教士の資格を取るには、2犬種の試験を受ける必要があります。既にシュナウザーで理事長賞をいただいていたので、1犬種は免除になりましたが、もう1犬種勉強しようと思った時に選んだのがプードルでした。将来的にはトリミングを教える立場になりたかったので、日本でトリミングを教えるには、プードルは必須だと思い、働きながら週に1度、プードルのトリミングを教えてもらいました。

その後、プードルでもJKCのトリミング競技会で理事長賞をいただき、埼玉の専門学校とシュナウザーで有名な先生の塾で講師をして、2010年に自分のお店となる「Dog Salon Salt & Pepper」をオープンしました。

トリミングをする上で重要視していることは何ですか?

その犬種のスタンダードを常に意識することが重要だと思います。プロである以上、ただこういうスタイルが好きだからではなく、犬は本来どういった生き物なのか、その犬種はどういう犬種なのかをちゃんと理解した上で、美的に表現することがトリマーの仕事だと思います。

ただし、それだけではペットカットが中心の普段のサロンワークをやりきれないので、自分の中で線引きをしながら、自分が求めているその犬種らしさを表現しつつ、お客様の意見をどこまで取り入れるか、バランスをとりながらやることも大切です。

大事なのは、ただ教わった通りにやるのではなく、その犬種らしさを理解して自分なりの表現方法を身に付けることだと思います。

上達するために必要なことは何だと思いますか?

教わることではなく自分で考える力と具体的に実行する行動力だと思います。まずは教わったことをそのまま素直に受け入れることが大切ですが、その後は自分で考え、工夫して、発展させようと思わないと、なかなか上達しません。
そして、考えるだけでなく実行する勇気を持つことも必要です。失敗したらどうしようか、特にお客様の犬で実行するには恐怖心があると思いますが、リスクを乗り越えてでもチャレンジできるかどうかで差が付くと思います。
挑戦して失敗して、なぜ失敗したのか考えながらまた挑戦して完成に近づけていく。これをいかに早いテンポで繰り替えせるか、その反復の早さが上達の早さにつながると思います。

今後の「trim」にどんなことを期待しますか?

たんに売れるための情報ではなく、専門誌としての情報の濃さをさらに追及していって欲しいと思います。
最近では、トリミング業界もかなりグローバルになってきています。海外には上手なトリマーがたくさんいて、中国、韓国、台湾などのアジア圏にも上手なトリマーが増えています。
海外のコンテストなどに出場してくるトップトリマーは、国籍に関係なく世界基準でトリミングを考えていますが、日本人のトリマーはどうしても日本国内の基準で考えてしまうので、世界に出た時に差が出てしまいます。そういった世界で活躍するトリマーの技術や知識を取り得上げることで、日本のトリマーにも刺激を与えて欲しいと思います。

動画サイト「Groomers Channel」にどんなことを期待していますか?

写真と文字だけでは伝わりにくい部分も、動画であれば見てすぐにわかるので、本より具体的に知るためにはすごく効果的だと思います。
セミナーに行きたくても行けない人もいるので、どこでも見ることができる動画は、学ぶためのツールとして便利だと思います。

今後の目標を教えてください

まずは、自分自身がもっと上手になりたいと思っています。自分はトリミングの競技会に出て学び、育ってきました。教士の資格を取ってからは、国内のコンテストには出れないので、今は海外のコンテストに出て技術を磨いています。
自分がトリマーとしてこの業界で何に貢献できるかと考えた時、もっと上手になって挑戦して結果を出して、日本人トリマーの存在を世界に知らしめたいと思っています。

そのためには、自分がもっと上手にならなければいけないですし、そこで自分が成長した分、具体的な技術や知識を日本のトリマーにも伝えて、業界全体のレベルアップにつなげていきたいと思っています。