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05 栁澤 絵美

今年の春、東京都世田谷区にオープンしたトリミングサロン「Quintet」のオーナートリマー。
東京都内の予約が取りにくい複数の人気トリミングサロンで、トップトリマーや店長を務めたのち、「Quintet」をオープン。毛流やボリュームの出し方を変えたり、カットに細かな変化を加えることで犬の表情を引き出したり、その高い技術力に飼い主から絶大な信頼と人気を得て、リピーターを増やし続けている。

トリマーを目指したきっかけは?

子どもの頃から動物が大好きだったので、将来は動物と関わる職業に就こうと決めていました。特に、水族館で魚を鑑賞することが好きだったので、小学校3年生の時にイルカなどを扱う調教師を目指そうと決意。ところが、調教師について色々と調べていると地元に就職先がなく、採用条件が厳しいことが判明したので、調教師の夢を断念しました。
その後、中学1年生の時に、シー・ズーを飼い始めました。飼い始めた当初は、興味本位で、自宅にあった裁ちバサミを使って、自分でカットしていたのですが、ある時、サロンにトリミングをお願いする機会があり、その仕上がりのきれいさに驚き、トリマーに憧れを抱くように。トリマーという職業について調べ、技術を身につけることで収入を得られる、という部分に魅力を感じて、トリマーを目指すようになりました。

今年4月に独立されましたが、それまでの経歴を教えてください。

トリミング専門学校を卒業後は、トリミング修行のために、いくつかのサロンに勤務しました。サロンを転職する際には、転職先で「今の自分に足りないものを学べるかどうか」を意識して選んでいました。私は、ホスピタリティーが重要だと思ったので、接客対応がしっかりしているサロンを選んで、学んでいました。

実は、サロンを転職するなかで、1度挫折して4年間ほどトリマーから離れて、観賞魚や小動物を扱うペットショップなどで働いていたこともあります(笑) 。もし、トリミングが嫌になってしまったトリマーさんがいたら、思い切って一旦別の仕事をしてみるのも、良いかもしれませんね。

「Quintet」をどのようなお店にしたいですか?

私が一番大切にしている、ホスピタリティー溢れるお店にしたいと思っています。パピーの頃から、最期を迎える時まで、犬と飼い主さんに寄り添ったトリミングをおこなう、「寄り添いトリム」をモットーに、犬と飼い主さんと密接な関係を築いていきたいと思っています。シニアになって、サロンに来ることができなくなったら、飼い主さんの自宅でトリミングするなど、オーナートリマーになったからこそできる、寄り添いトリムを実現したいです。
そのためには、犬に対する飼い主さんの思いを汲んで、私がそのコに対する思いを伝えられるように、何でも話せる環境を作りたいと思っています。飼い主さんと会話する時間を必ず確保するように心掛けて、飼い主さんにとって、「トリミングに行く=たくさんお話ができる」というサロンにしたいと思っています。

トリミングで大切にしていることは何ですか?

トリミングでは、「犬に負担をかけずにかわいくする」「次回来店時まで崩れないスタイルにする」の2つを大切にしています。
負担をかけないために重要なのは、スピードです。スピード重視でおこなうところと、ていねいにおこなうところを分けて、全体のトリミングにかかる時間の短縮を図っています。
崩れにくいスタイルにするために大切なのは、毛を均等な長さにカットすることです。毛の長さにバラつきがあると、毛玉になりやすく、スタイルがキープしづらくなってしまいます。毛を均等にカットする方法は、trim6月号(Vol.62)で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

trim62号では、リピーターを増やすカットテクニックについても解説していただきましたが、カットスキルを身につけるうえで大切なことは何だと思いますか?

上達の近道は、頭数をこなすことだと思います。ただし、闇雲に頭数をこなすのではなく、自分が苦手なことを把握したうえで、それを克服するという意識を持って、頭数をこなすことが大切だと思います。

「trim」や動画サイト「Groomers Channel」に期待することは何ですか。

「trim」が、若手トリマーの成長を促し、自分の描いた目標の達成に向けて、後押しできるような雑誌であり続けることを、今後も期待したいです。

また、動画はカットの細かい方法がよくわかるので、とても参考になります。特に、ひとりでお店を経営している方などは、自分のトリミングが正しいのか不安になることもあると思います。そういう方にとって、動画というツールは重宝されるので、さまざまなトリマーさんのトリミング方法を紹介して欲しいと思います。

最後に、今後の目標を教えてください。

サロンの目標としては、「Quintet」のモットーである「寄り添いトリム」を実現させるために、多くの犬、飼い主さんと密接な関係を築いていくことが目標です。
個人的には、国内外を問わず、色々な場所に足を運んで、より多くのトリマーさんと情報交換をしてトリマーとしてのスキルを向上させて、求められることがあれば、自分の技術を伝えていきたいと思っています。