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サンダースVC Vol.5-4 犬と猫の内視鏡-診断・治療への活用-
《00001128》
販売価格: ¥ 12,100円(税込)
診療における内視鏡検査の可能性と応用法の最新情報を提供
獣医療における内視鏡使用の広がりを見据えて、内視鏡を使うことによる低侵襲性をさらに軽減するための器具・手技を紹介し、獣医師が内視鏡検査 / 内視鏡手術を診療に取り入れる際の判断に役立つ記事が満載。
序文
ManyAnn G. Radlinsky, DVM, MS
Department of Small Animal Medicine and Surgery
College of Veterinary Medicine
University of Georgia
ゲストエディター
診療法の進歩に対する伴侶動物所有者の意識は高まりつつあり,所有する伴侶動物にも同じような診療が求められるようになっている。内視鏡検査は診断ツールとして獣医学領域に導入されたが,ここ数年でその用途における限界は打破されてきた。獣医学における内視鏡検査は,生体の自然開口部を通して視認することから始まった。「内視鏡でみる」ことにほかならないものの,時間を置かず体腔などの部位へ挿入されるようになっている。現在では,数多くの治療的技術が十分に確立するところまできており,一定の症状に対する標準治療とされる手法もあれば,「研究途上」にあるものもある。内視鏡検査の前途は控え目にみても明るいといえよう。本書では手技の低侵襲性を取り上げるが,これにより患者にとって迅速な回復と入院期間の短縮という利点が得られるようになっている。このような手技の開発は内科医によって進められたものだが,現在,動物用に特化して非常に大型の患者から最も小型の患者まで対応機器の提供が増えつつある。
本書では診療における内視鏡検査の可能性と応用を概説したい。将来の獣医内視鏡医にとって手技に対する熱意を育む良い機会となるだろう。習熟には時間を要するかもしれないが,研修センターも数多くあり,これを活用することで低侵襲的な診断治療への道を歩み出せるはずである! 継続教育に参加して実地訓練などで経験を積めばよい。治療方針の実践と活用を進めてゆけば,内視鏡検査に必要とされる確実な技能が磨かれる。まずは診断法から始め,徐々に治療技術へ広げていくことで,今後の発展の確固たる基盤となるであろう。低侵襲的手技を習得する際,制限時間を設けることで,その方法に何度も接することができる。設定した制限時間内に施術が大きく進歩していれば,内視鏡手技が習得できたことになる。そうでなければ切開アプローチへ切り替える。一つひとつの手技から学んでいくことが必要である。何が成否を分けたのか,どうすれば手技を高められるのか,ここを変えればアプローチがいきてくるだろう,と絶えず検討していくことで,進歩を続ける内視鏡検査の世界に迎え入れられることだろう!
監訳者のことば
金山喜一(日本大学 教 授)
鯉江 洋(日本大学 准教授)
本書は,小動物臨床における内視鏡に関する初歩(内視鏡の構造と用途)から,施術に必要な麻酔法,内視鏡検査法,内視鏡を用いた診断の要点,高度な内視鏡下手術にいたるまで丁寧に記述・解説がなされており,「小動物における内視鏡の利用と応用の実際」に関して,現時点で得られる知見・情報を余すところなく網羅した11編の総説論文から構成されている。
内視鏡を用いた検査や手術は動物に対する侵襲が少なく,入院期間も短縮できることは大きなメリットである。こうした利点から医療機器としての内視鏡の改良が進むにつれて,小動物臨床における検査・採材・手術にますます応用されてゆくであろう。
本書は,ゲストエディターであるDr. ManyAnn G. Radlinskyの尽力のもと,11名の専門医有資格者を含む小動物の各種内視鏡手技に精通している14名の獣医師によって執筆・編纂されている。デリケートで複雑なフレキシブル内視鏡の構造も平易に解説されており,さらに各執筆者が専門としている内視鏡を用いた各種の検査・採材・手術の実際が詳細,かつ明快に記述されている。
我が国において小動物臨床に実績を積んで来られ,すでに内視鏡を導入されている先生方にも,本書は大きな手応えを感じていただけるものと思われる。なぜならば,小動物臨床における先進国である欧米の内視鏡手技に関する最新の知見と情報が満載されているからである。また,主にプライマリーケアを担当されている先生方には,内視鏡を用いた検査・採材・手術の概要を把握していただく専門参考書として広くご活用いただけるであろう。さらに,獣医学科に学んでいる学生諸君にとっても,消化器系,呼吸器系,泌尿器系,耳鼻咽喉系はもとより,内科診断学,臨床病理学,そして病態生理学などの参考書として十分に活用できるよう,難解な専門用語は平易な表現に置き換えた箇所が随所に見受けられることは,お分かりいただけると思う。細心の注意を払っているものの,訳者・監訳者の浅学菲才から訳出に不備・不都合の部分が存在することも予想される。読者の皆様のご叱正をお願いしたい。日々,診療に携わっている小動物臨床の専門家から獣医学科の学生に至るまで本書を十分にご活用いただき,日本の小動物臨床のレベルアップを推進させる起動力の一助として下されば,訳者,監訳者として望外の幸いである。
目次
■序文 MaryAnn G. Radlinsky
■監訳者のことば 金山喜一,鯉江 洋
■1章 獣医臨床における内視鏡検査の機器および器具類
Stephen J. Van Lue and Anne P. Van Lue
*手術室の要件 / スペース
*タワー
*トロカール
*用手器具
*フレキシブル内視鏡検査
*内視鏡装置および部品の管理と洗浄
*参考文献
■2章 小動物の内視鏡検査における麻酔法
Ann B. Weil
*一般的な考慮事項
*喉頭鏡検査 / 気管鏡検査
*上部消化管内視鏡検査
*大腸内視鏡検査
*検鼻内視鏡
*腹腔鏡検査
*胸腔鏡検査
*参考文献
■3章 硬性内視鏡による診断検査:耳鏡検査,鼻鏡検査,膀胱鏡検査
Clarence A. Rawlings
*耳鏡検査
*鼻鏡検査
*膀胱鏡検査
*要約
*参考文献
■4章 犬と猫における気道の評価と軟性(フレキシブル)内視鏡を用いた手技:喉頭鏡検査,気管洗浄,気管気管支鏡検査,気管支肺胞洗浄
Kate E. Creevy
*喉頭鏡検査
*気管洗浄
*気管気管支鏡検査
*検体採取
*サンプルの送付
*合併症
*要約
*参考文献
■5章 小動物における軟性(フレキシブル)内視鏡の使用
Steffen Sum and Cynthia R. Ward
*内視鏡装置
*内視鏡の構成
*軟性(フレキシブル)内視鏡のタイプ
*内視鏡に付随する器具
*ファイバースコープの操作と保管
*患者と機器の準備,検体採取
*食道鏡検査
*胃の内視鏡検査
*胃の疾患
*小腸疾患
*大腸内視鏡検査
*参考文献
■6章 小動物の消化管系に対する腹腔鏡検査と外科手技
Lynetta J. Freeman
*血管輪異常の結紮
*試験的腹腔鏡検査
*栄養チューブの設置
*腸内異物の取り出し
*胃腹壁固定術
*腸管生検
*腹腔鏡による臓器生検
*腹腔鏡による結腸切除
*腹腔鏡下胆嚢摘出術
*今後の方向
*要約
*参考文献
■7章 犬と猫における高度な腹腔鏡下手術(肝胆道系,内分泌系)
Philipp D. Mayhew
*機器
*高度な腹腔鏡手法のアドバイス
*腹腔鏡下胆嚢瘻チューブ設置
*腹腔鏡下胆嚢摘出術
*腹腔鏡下副腎摘出術
*要約
*参考文献
■8章 小動物における腹腔鏡下手術に関する合併症および開腹術への切り替え適否の判断
Janet Kavak McClaran and Nicole J. Buote
*腹腔鏡下手術に関連する合併症
*気腹
*手術による合併症
*術後合併症
*開腹手術への転向
*禁忌
*要約
*参考文献
■9章 小動物における試験的胸腔鏡検査
Chad Schmiedt
*術前診断および適応症
*麻酔とポジショニング
*器具
*手技
*参考文献
■10章 小動物における治療的胸腔鏡検査法
Eric Monnet
*心嚢開窓術および部分的心膜切除術
*肺葉切除術
*右大動脈弓遺残症の矯正
*胸管の結紮
*動脈管開存症の結紮
*膿胸の治療
*参考文献
■11章 小動物における胸腔鏡検査に伴う合併症と開胸術への切り替え適否の判断
Mary Ann G. Radlinsky
*概要
*麻酔
*出血
*気胸
*術後の疼痛
*胸腔鏡補助による手技
*レビュー文献
*要約
*参考文献
著:MaryAnn G. Radlinsky
監訳:金山喜一(日本大学生物資源科学部教授)
鯉江 洋(日本大学生物資源科学部准教授)
出版:エデュワードプレス
サイズ:B5版 上製本 約160頁
発行年月日:2010年12月15日
ISBN:978-4-89995-583-2