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06 佐々木 啓子

東京都世田谷区に3店舗展開している、Grooming Salon Figooのオーナートリマー。 美容師、メイクアップアーティストだった経歴を活かして、トリマーに転身後、ロッタちゃんカット、おパンツカット、マッシュルームカットなど、独創的でバランス感覚のあるペットカットスタイルを生み出す。
現在は、Artistic trimming(姿勢を正したトリミング)セミナーの講師やトリミングスクールの講師も務めている。

トリマーになったきっかけを教えてください。

トリマーになる以前は、美容師とヘアメイクの仕事をしていました。結婚を機に辞めたのですが、ある時、「自分の感性を活かせるような仕事に就きたい」と思うように。そんな矢先、愛犬をトリミングしてもらっていたトリマーが、とても楽しそうに、犬をかわいく仕上げる姿を見て、素敵な仕事だなと思い、トリマーを目指してトリミング専門学校に入学しました。
専門学校卒業後はいくつかのサロンで経験を積み、2010年に独立して「Figoo」をオープン。ありがたいことに、2017年には3店舗まで拡大できました。

サロンを人気店に成長させることができた秘訣は何ですか?

飼い主さんに満足いただくために、要望をしっかりと把握したうえで、期待以上の仕上がりになるように心がけています。
たとえば、「ここの長さは●センチでいいですか?」と聞いても、飼い主さんはピンとこないので、「丸い感じですか?」「かわいらしい感じですか?」など答えやすい質問をして、飼い主さんのイメージを引き出したうえで、トリミングで期待を上回れるようにしています。

おまかせのオーダーをいただいた場合は、飼い主さんの洋服やバッグなど身につけている物から、趣向を読み取るようにしています。飼い主さんはきれい系が好きか、かわいい系が好きかなど好みを感じ取って、仕上がりをイメージしています。

数々のペットカットスタイルを生み出してきましたが、
カットでは何に気をつけていますか?

カットする時に大切なのは、立ち位置や姿勢、体の動かし方です。犬の体全体を常に視野に入れて、カットすることで、仕上がりがバランスよくなるのと同時に、「こうしたほうがかわいいなぁ」「この部位をこうしてみようかなぁ」と、イメージが浮かんできます。どの部位をカットしていても、犬の体全体を視野に入れることで、柔軟な考え方ができます。

スタッフ教育に力を入れているそうですね。

私のお店では月2回程度、お店を早めに閉めて、勉強会をおこなっています。新人スタッフが入社したら、まずはシャンプー&ドライの練習、次に、プードルのアウトラインを覚えてもらうために、側望の絵を描いてもらい、それを私が添削して、正しいアウトラインの形を教えます。正しいアウトラインが描けるようになったら、トリミング時の正しい姿勢の練習、そのあとにカットの練習をしています。

セミナーなどでも正しい姿勢を身につける大切さを伝えていますよね。

正しい姿勢を身につけると、体への負担が軽減され、無駄なく、素早くカットすることができます。カットのラインが揃わなかったり、カットに時間がかかってしまったりするのも姿勢を正すことで改善できるので、カットで悩みを抱えている方は、ぜひ自分の姿勢を見直してみて欲しいですね。「正しいカット中の立ち位置・姿勢・体の動かし方」は、trim63号(2019年8月号)で紹介しているので、参考にしてみてください。

「trim」と動画サイト「Groomers Channel」に、どのようなことを期待していますか?

どのレベルの方がtrimを読んでも、わかりやすい誌面を期待しています。トップレベルの方はわかるけど、若手トリマーにとってはわかりにくい、ということがないように、これからも上級者と初級者それぞれにとって、欠かせない雑誌であり続けて欲しいですね。
カットの手順や細かいハサミの動かし方など、写真だとわかりにくい部分は、動画で補完して、すべてのトリマーにとって、教科書のような存在であるように期待しています!

最後に、これからのトリミング業界を担う、
若手トリマーに向けてアドバイスをお願いします。

トリマーはやりがいが多い仕事である一方、日々の業務に追われると、モチベーションの維持が難しいこともあるかもしれません。長く続けていくには、カットだけでなく、接客なども意識を高く持って仕事に臨み、日々努力することが大切です。初心を忘れずに、仕事に誇りをもって、頑張ってもらいたいですね。