外科学大系刊行にあたって
近年、動物も高齢化社会を迎え、その結果多くの疾病の発生増加がみられている。また、最近の獣医学領域における医療技術、とくに診断能力の向上は著しく、多くの疾患が正確に診断される時代を迎え、また同時に医療現場における責任も格段に増大しつつある。
一方、我々が日常の診療の中で必要とする情報は、質量ともに急増しているが、そのような多くの情報の中で的を絞り、それらの知識、技術を身につけることは、難しい状況にある。とくに、医療の中でも外科領域においては、直接スタッフの知識、技術レベルが予後を左右することになるため重要となる。
このような獣医療の現状の中で、本シリーズは、全外科学領域を網羅するものであり、手術手技は当然のこと乍ら、疾患の発生機序から病態、治療に至るまで簡潔に説明してあり、外科的疾患を理解するには打ってつけの獣医学書のひとつといえる。併せて、イラスト、表、カラー写真を豊富に掲載し、より直感的に理解しやすい構成とし、外科手技の普及・浸透に役立つ書籍を目指している。
本シリーズは、学生は勿論のこと、研修医、大学院生、臨床医さらに他分野の獣医師にとっても、最新知識、技術の習得さらに確認のためには格好の獣医学書であると信じるものである。